まだ言葉を理解しない赤ちゃんと二人きり。そんな日々に、

幸せなんだけれども何となく疲れてしまう・・・
そんなママやパパは多いのではないでしょうか?
また、初めての育児はわからないことだらけ。夫婦のあいだでも様々な価値観の違いから、

お互いをわかりあえず、ストレスが溜まってしまう・・・
ほとんどのご家庭で感じていることだと思います。
そんな、人と分かり合うことの難しさ、曖昧さ、儚さ。それと向き合い、少しだけ優しい気持ちを取り戻せる。
そんな展覧会が、現在21_21 DESIGH SIGHTで行われているトランスレーションズ展です。(会期は2020年10月16日(金) – 2021年6月13日(日)です)※会期が延長になりました!

先日、0歳の次男を連れて展覧会を見てきました!
今回はそのレポートです。
乳幼児連れでも楽しめる展示でしたので、興味をもたれた方はぜひ行ってみてください!
詳細は公式ホームページよりご覧ください!
展覧会に行った理由
そもそもなぜこの展覧会に行こうと思ったのか、理由は2つあります。
21_21 DESIGH SIGHTが好き!
もともと、21_21 DESIGN SIGHTという美術館が好きで、展覧会をよくチェックしています。
21_21 DESIGN SIGHTはデザインを通じてさまざまなできごとやものごとについて考え、世界に向けて発信し、提案を行う場です。(中略)
21_21 DESIGN SIGHTでは「日常」をテーマにした展覧会を中心に、トークやワークショップなど多角的なプログラムを通じて、訪れる人がデザインの楽しさに触れ、新鮮な驚きに満ちた体験をすることができます。これらの展覧会のディレクターの多くをデザイナーが務めているのも特徴です。
http://www.2121designsight.jp/designsight/
要するに、「デザイン」に特化した展覧会を行う常設展を持たない美術館です。
過去の企画展でも特に面白かったのは、以下の展覧会でした。
コメ展と単位展はパノラマ写真と動画が公式ホームページより公開されています!おすすめなので、ぜひ上のリンクから観てみください。
また、デザインあ展については、展示の余韻に浸りたく、以下の書籍も購入しました。もう少し長男のお絵描き力がついたら、「かくほん」に取り組みたいな~と楽しみにしています。
ディレクターのドミニクチェンさんが好き!
昨年の夏頃、トランスレーションズ展のディレクターであるドミニク・チェンさんの著作を読みました。
ドミニク・チェン Dominique Chen
博士(学際情報学)。使う言語は日・仏・英。日本、台湾、ベトナムの血を引くフランス国籍。幼少時には50カ国以上から生徒が集まるインターナショナルスクールに通い、日々「翻訳」を体感して過ごす。現在は早稲田大学文化構想学部・准教授。2016~2018年度グッドデザイン賞の審査員・フォーカスイシューディレクター・ユニットリーダーを務める。XXII La Triennale Milano『Broken Nature』展(2019.3.1〜9.1)でぬか床ロボット『NukaBot』、あいちトリエンナーレ2019『情の時代』展(2019.8.1〜10.1)では人々の遺言の執筆プロセスを可視化する『Last Words/TypeTrace』を出展。
http://www.2121designsight.jp/program/translations/director.html
多国籍の背景を持つドミニク・チェンさん。ただ多くの言語が話せるだけでなく、多角的な広い視点で物事を見ている方です。コミュニケーションを、「わかり合うためのもの」ではなく「わかりあえなさをつなぐためのもの」と捉えているところに、作者のやさしさを感じます。また、自伝を軸として書かれており、ところどころお子さんへの温かい目線が描かれている点にも深く共感。とても心に響く素敵な一冊でした。
以上の理由から、今回の展覧会には、絶対に行きたい!と思っていました。
子連れで行きました
今回は0歳9ヶ月の次男を抱っこ紐で抱えて連れて行きました。お昼寝のタイミングを見計らって来館。見学中は寝てくれたので、ゆっくり鑑賞することができました!
六本木駅から当館まではもちろん、館内にもエレベーターがあるので、ベビーカーでの来館も可能です。
しかし、展示を見る際は他のお客さんの邪魔になってしまうので、抱っこ紐で抱えての鑑賞の方がおすすめです!

平日であれば比較的空いているので、ベビーカーでも迷惑かけないと思います!
3歳の長男は連れて行かなかったのですが、長男がいたらこんな感覚で楽しんだだろう!という視点も交えながら、ご紹介したいと思います。
おすすめの展示 6選
ことばのつながりを見つける/Google Creative Lab+Studio TheGreenEyl+ドミニク・チェン「ファウンド・イン・トランスレーション」

来館者がマイクに向かって放った言葉が、複数の言語に翻訳される過程を表現した展示です。一見まったく違う言語に思えても、実は似ていたりする。そんな言葉と言葉の新たなつながりを垣間見れる作品です。難しいことを考えず、ただボーっと眺めているだけでも楽しい。
自分の話した言葉が吸い込まれるようにして、ほかの言語に表現されていく。子どもたちにとっては、自分がまだ知らない世界が大きく広がっていることを感覚的に学べる展示だと思いました。
現在はデジタルでの同時翻訳が当たり前になりました。子どもたちにとっては、そのような環境が生まれながらに整っている。それは、他国の人とコミュニケーションを取ることを容易にする一方で、「わかりあえない」ということを「わかりあおうとする」、そんな力が弱くなってしまうのではないか。そういったマイナス面も考えさせられました。

地球上で話されている言語は7000近くもあるんだそうです!世界は広い・・・
ことばの世界の多様さを知る/エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」

以下の本から選ばれたイラストが展示されていました。
国によって異なる背景があり、そのなかで生まれた独特な表現。それが翻訳できない言語として表れる。日本語でいうと、「積読」や「ボケっと」など。私はこれを見て、日本人であることがちょっぴり誇らしくなりました。

外国人は積読しないのか?ボケっとしないのか?
また、以下の本もミュージアムショップに置かれていました。世界の考え方に触れると、目の前の小さな悩みなんて「まぁ~いっか」と思えたりします。忙しいママ・パパの息抜きにおすすめです。
ちなみに、同じ著者が書かれている以下の書籍も読みました。宇宙という科学的なお話をものがたり風に語っている書籍で、科学が苦手な人にも読みやすいと思える一冊でした。何より絵を含めた体裁がかわいい。ぜひ手に取ってみてください。
翻訳できない言葉があるくらいだから、自分が思ったことが相手に伝わらないことは当然なのかもしれない。伝える側も聞く側もしっかり歩み寄らないと、わかりあうってできないのかも、と思いました。
振動で音を聴く/本多達也「Ontenna(オンテナ)」
Ontenna(オンテナ)は、聴覚障がいを持っている人が音を振動と光の強さで感じられるデバイスです。

このデバイスを映像とあわせて体験できる展示になっていました。小さいお子さんも感覚で体験できるので、おすすめです。
この展示を息子に見せたらどう感じるか?どのような疑問を抱くか?と考えたとき、以下の書籍をもとに話をしたいと思いました。
本展覧会でも作品を出されている伊藤亜紗さんとヨシタケシンスケさんの共著です。以前読んだことがあり、息子に読んであげたいと思ったことを思い出ました。
障がいをはじめとし、人の個性についての捉え方は、親の価値観が大きく影響すると思います。自分の子どもたちには、多様な個性を認め合えるようになってほしい。人の立場に立って考えることを当たり前にできるようになったほしい。自分自身がそのような価値観を示していくとともに、この絵本も使って育んでいきたいと思います。
手で世界を描く/和田夏実+筧 康明「…のイメージ」
息子が一番ハマりそうだなあと思ったのがこちらの展示。
手話を読み取って、映像上に飛行機を飛ばしたり、雲を作ったり、雨を降らしたりできる展示です。手話について興味を持ってもらうきっかけになるなぁと思いました。
ちなみに次男を抱っこした状態では、うなく手が使えず、楽しめなかったです・・・。なので、家族で出かけた際は抱っこを交換しながら、体験してみてください!
見えない生き物と話す/Ferment Media Research「NukaBot v3.0」

まさかの、「ぬか床」×「ロボット」!!ぬかのかき混ぜタイミングを自ら教えてくれるロボットです。話しかけると答えてくれるので、小さいお子さんは夢中になる展示だと思います。
余談ですが、我が家の長男はぬか漬けのきゅうりが大好き。今年の夏には、無印の発酵ぬか床を買ってつけて食べていました。(ちなみに、以下のぬかどこと同じものを使っているらしいです。)

美味しかったのでおすすめしておきます!
しかし一か月ほどで、美味しくつからなくなってしまい、ぬか床をを手放すことにしました・・・

ヌカボットがいてくれたらよかったなぁ~
最近はシンプルライフが注目を集め、限られた量の本当に好きなモノと暮らすというスタイルを取っている人が増えています。本当に愛着があるモノと暮らすということは、そのモノと対話をしながら暮らしている感覚に近い。ヌカボットと接することで、自分とモノとの関係性について改めて考える、そんな展示でした。
料理から翻訳を考える/永田康祐「Translation Zone」

日本で手に入る食材を使って外国の料理をつくってみる、というコンセプトで描かれる映像作品。
現地で食べるから良い!とはよく言われるけれど、それはなぜかを考えさせられました。
ところどころ、サイエンス的な要素が入ってくるのも個人的にはとても興味深く、椅子に腰かけてじっくり鑑賞を楽しみました。小さいお子さんを連れていると、難しいかもしれませんが・・・
全体を通して
ゆっくり鑑賞できました
この展覧会は、映像をじっくり見る作品が多く、そこまで混んでいなかったので、自分のペースでゆっくり鑑賞をすることができました。
ただ、今回は次男が寝ていてくれたので、ゆっくり鑑賞できましたが、お子さん連れだと少しあわただしくなってしまうと思います。夫婦で子守りを交代しながら、なるべくゆっくり見られるよう協力できると良いと思います。
やさしい気持ちがお土産になります
子育て中の今は、慌ただしい日々で自分と子どものことで精一杯。人との関係性など、客観的に振り返り、考えることは難しいです。
しかし、親子関係でも夫婦関係でも、衝突があったときに自分を客観的に見られないと、事態は悪化する一方。近しい存在だからと過信せず、どうしたら分かり合えるのか、客観的な視点と優しさを持って振り返ることが必要です。そのためのヒントがたくさん得られた、あたたかな展覧会でした。
トランスレーションズ展、おすすめです!
子どもが体験を楽しみつつ、大人も深い学びが得られるトランスレーションズ展。とても充実したミュージアム体験になること間違いなしです。
トランスレーションズ展、とてもおすすめです!!
期間は2021/6/13までなので、是非まだ行かれていない方は足を運んでみてください。
来館の際は、公式ホームページをご確認ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。こちらのブログではミュージアム情報をはじめ、子育てやワーママのキャリア、リノベ体験談などをつづっています。また、音声配信もやっていますので、ぜひ聴いてみてください!
まったく違うように見えても、似ているところがあったりする。共通点が見つかると、心の距離はぐっと近くなる。言葉の壁もそんな風に超えていけたりするのかな~と思いました。